この記事の要点
会議議事録の作成工数をほぼゼロに。AI活用で生まれた週10時間の余裕
会議のたびに発生する議事録作成の負担を、Google Meet×Gemini×NotebookLMの連携で解消。週10時間の業務時間削減を実現した事例をご紹介。
1. 支援前の課題
従業員35名規模の中小企業で、会議の議事録作成が大きな負担となっていました。週に5〜6回開催される各種会議のたびに、担当者がメモを取りながら参加し、会議後に議事録を整理・清書するという作業が発生していたのです。
「会議中はメモに必死で、議論に集中できない」
「議事録作成に毎回1〜2時間かかる」
「聞き逃しや記録漏れが心配で、録音を何度も聞き返している」
議事録担当者は会議参加後、録音データを聞き返しながら内容を整理し、フォーマットに沿って清書するという作業を行っていました。1回の会議につき平均1時間の後処理が発生しており、週に合計5〜6時間を議事録作成に費やしていたのです。
さらに、議事録担当者が会議中にメモを取ることに集中するあまり、議論への積極的な参加ができないという問題もありました。また、人によって記録の粒度や表現にばらつきがあり、後から振り返る際に情報が見つけにくいという課題も抱えていました。
急な欠席や担当変更があった場合、議事録の品質が大きく低下することも問題でした。会議の重要な決定事項や次のアクションが正確に記録されないケースもあり、プロジェクト進行に支障をきたすこともありました。
2. 行った施策
Google MeetとGemini、NotebookLMを組み合わせた議事録自動化の仕組みを構築しました。特別な開発は不要で、既存のツールを連携させるだけで実現できるシンプルな解決策です。
Step 1:Google Meetの文字起こし機能を活用
Google Meetの標準機能である自動文字起こしを有効化しました。会議中の発言がリアルタイムでテキスト化され、会議終了後に自動でGoogle ドキュメントとして保存されます。これにより、録音を聞き返す必要がなくなりました。
Step 2:Geminiによる議事録の自動整形
文字起こしされたテキストをGeminiに渡し、議事録フォーマットに自動整形します。「参加者」「議題」「決定事項」「アクションアイテム」「次回までの宿題」といった項目に分類され、読みやすい形式で出力されます。プロンプトのテンプレートを用意しておくことで、誰でも同じ品質の議事録を作成できるようになりました。
Step 3:NotebookLMによる議事録の蓄積・検索
作成した議事録をNotebookLMにアップロードし、過去の会議内容を横断的に検索できる環境を構築しました。「この案件について過去にどんな議論があったか」「前回の決定事項は何だったか」といった質問に対して、AIが関連する議事録から情報を抽出して回答してくれます。
Step 4:運用ルールの整備
文字起こしの精度を高めるため、会議開始時に参加者が名前を名乗るルールを導入しました。また、議事録作成から共有までの標準的なフローを文書化し、チーム全員が同じ手順で作業できるようにしました。
導入のポイント
- 追加コストはほぼゼロ(Google Workspace利用企業の場合)
- 特別な技術スキル不要、既存ツールの組み合わせで実現
- 段階的に導入可能(まずは一部の会議から試験運用)
- プロンプトテンプレートの共有で品質を標準化
3. 施策後の成果
議事録作成にかかる時間が約90%削減され、週に約4.5時間の業務時間を他の業務に充てられるようになりました。年間に換算すると約230時間、人件費に換算すると数十万円相当の効率化効果が得られています。
削減された時間は、本来の業務である企画立案や戦略検討に充てられるようになりました。
また、会議中にメモを取る必要がなくなったため、議論への参加度が向上し、より活発な意見交換ができるようになったという副次的な効果も生まれています。
「会議に集中できるようになった」「議事録作成のストレスから解放された」「過去の決定事項をすぐに確認できるので、同じ議論の繰り返しがなくなった」
といった現場からの評価を得ています。
特に好評だったのは、NotebookLMによる過去議事録の検索機能です。「この案件について前回何を決めたか」「あのプロジェクトの進捗状況は」といった質問に対して、AIが過去の議事録から関連情報を抽出して回答してくれるため、情報の再確認にかかる時間も大幅に短縮されました。
4. まとめ
会議の議事録作成は、多くの企業で「仕方ない作業」として受け入れられていますが、実はAIツールの組み合わせで大幅に効率化できる領域です。
今回の事例では、Google Meet、Gemini、NotebookLMという既存のツールを組み合わせるだけで、追加コストをほとんどかけずに週10時間の業務時間削減を実現しました。特別な技術スキルも不要で、一般のビジネスパーソンでも導入・運用が可能です。
重要なのは、完璧を求めすぎないことです。AIによる文字起こしには多少の誤りがありますし、議事録の自動整形も100%正確ではありません。しかし、人手で作成していた時と比べて十分な品質が得られ、かつ作業時間が90%削減できるのであれば、導入する価値は十分にあります。
会議の多い部門や、議事録作成に時間を取られている組織には、ぜひ試していただきたいアプローチです。まずは一部の会議から試験運用を始め、効果を確認しながら適用範囲を広げていくことをお勧めします。
この事例で確認した実務ポイント
対象業種: サービス業
支援の観点: 業務フローの棚卸し、既存ツールの整理、現場で使い続けられる運用設計、導入後の定着確認。
同じ課題に向く企業: IT担当者が不在、紙や表計算での管理が限界、AIや自動化を試したいが社内だけでは進めにくい企業。