従業員数非公開の印刷・販促会社/月次集計を約10人日から1人日未満へ短縮した話
印刷・販促支援 × 月次実績集計・情報システム担当 × 従業員数非公開の公開事例

印刷を起点に、販促企画、キャンペーン事務局、Web制作、倉庫・発送まで手がける会社では、毎月の売上や粗利を表計算ソフトで集計していました。

通常でも2人で5日以上、合計すると約10人日。繁忙期には10日間を費やし、担当者の仕事の約80%が数字の確認で埋まることもあったといいます。

同社は、基幹システムから出したCSVを自動で集め、数字を見える画面へ反映する流れを段階的に構築しました。その結果、月次集計は1人で1日未満、工数は約10分の1へ。締め後1〜2日で経営数値を確認できるようになりました。

この記事は、株式会社G-genが2025年8月4日に公開した株式会社ブンカの導入事例をもとに、中小企業が「表計算ソフトを捨てる」のではなく、集計の手作業を減らす順番へ整理したものです。従業員数や導入費用は公開ページで確認できないため、推測しません。

課題:情報は一つになったのに、最後の集計だけ手作業だった

同社では、以前は複数の場所に売上情報が分かれていました。その後、基幹システムを導入して元データは一つになりましたが、月末の報告は表計算ソフトへ出して加工するまま残りました。

つまり、情報をためる場所は整ったのに、見るための仕事が人に残っていた状態です。

担当者は毎月、CSVを出す、不要な行を除く、計算式を入れる、部署別に集計する、前月と比べる、役員向けの形へ整える、といった作業を繰り返します。担当者だけが式や手順を知っているため、引き継ぎも難しくなります。

公開資料をもとに状況を会話形式へ再構成すると、次のようになります。以下は理解を助けるための再構成で、実際の発言ではありません。

担当者:「元データは一つになりました。でも、月末になると結局また表を作り直しています」
営業担当:「数字は届きますが、自分の案件だけ見たい時にすぐ絞れません」
管理者:「担当者が休むと、どの式を直せばいいのか分からないのが不安です」

表計算ソフトが悪いのではありません。繰り返す集計、複雑な式、共有用の加工まで、一つのファイルと一人の担当者へ載せすぎたことが課題でした。

施策:データの取込と表示を分け、段階的に広げた

同社が選んだのは、BigQueryという情報をためておく場所と、Looker Studioという数字を見えるようにする画面です。

基幹システムから出したCSVをクラウド上の決めた場所へ置き、自動で取り込む流れを作りました。専門的には複数のGoogle Cloudサービスを使っていますが、現場から見た本質は「毎月同じデータ加工を人が繰り返さない」ことです。

当社が同様の相談を受ける場合は、次の順番で小さく始めます。

ステップ1:月次集計の手順を、一行ずつ分解する

「月次資料を作る」では大きすぎます。

データを出す、列名をそろえる、除外する、計算する、部署別にまとめる、確認する、配る。この単位まで分け、担当者しか判断できない作業と、毎月同じ作業を分けます。

判断が必要な部分まで無理に自動にしません。まず、同じ条件で繰り返す加工を候補にします。

ステップ2:正しい数字を一つ決める

売上、粗利、受注、返品など、同じ言葉でも部署によって集計条件が違うことがあります。

「どの時点の、どの状態を売上とするか」を決めずに画面だけ作ると、複数の数字が並びます。元の基幹システムと月次報告で、件数と金額が一致するかを先に確認します。

ステップ3:全社合計だけを先に見えるようにする

公開事例でも、最初は全社合計の実績を見えるようにする第1段階から始め、その後にチーム別の目標値などを追加しました。

最初から全帳票を置き換えると、要望が増えて完成しません。経営会議で毎月必ず見る3〜5項目に絞り、手作業の表と並べて数字を照合します。

ステップ4:取込を自動にし、失敗を知らせる

CSVを自動で取り込めても、ファイル名や列が変われば止まります。

成功時だけでなく、件数が急に減った、空欄が増えた、取込に失敗した時の通知を作ります。担当者が気づかないまま古い数字を見続けることを防ぎます。

ステップ5:見る人ごとの画面を増やす

経営者は全社の傾向、部門長はチーム目標、営業担当は自分の案件を見ます。

一枚へ全て詰め込まず、役割ごとに必要な画面を分けます。閲覧権限も同時に設定し、誰でも全データを見られる状態にしません。

成果:作る資料から、見て判断できる情報へ変わった

公開事例で確認できる変化を整理します。

項目BeforeAfter変化
月次集計の工数2人で5日以上、約10人日1人で1日未満約10分の1
繁忙期の負担10日間、担当者の仕事の約80%を占めることもあった自動取込と画面確認が中心大幅に軽減
数字を確認できる時期集計完了後まで待つ月末締め後1〜2日判断を前倒し
詳細分析表計算ファイルでは絞り込みに限界案件や利益率で検索・並べ替え現場でも活用

月次資料を早く作れただけではありません。

営業担当が自分の案件を確認し、利益率の低い案件を見つけ、経営層が投資先を考えられるようになりました。数字を作る担当者だけの仕事から、全社が数字を使う状態へ変わった点が大きな成果です。

なぜ効果が出たか:表計算ソフトを禁止せず、繰り返し部分だけ外した

「脱・表計算」と聞くと、全ファイルを一度に廃止する話に見えます。

実際の事例は違います。元データを自動で取り込み、まず全社合計を見せ、次に詳細へ広げました。段階を分けたことで、数字の不一致を小さいうちに見つけられます。

また、全社で使い慣れたGoogle Workspaceとの相性を重視しました。新しい道具の機能数より、社員が普段の環境から迷わず開けることを選んでいます。

ただし、同じ構成が全社に必要とは限りません。月次集計が数時間で終わる会社なら、表計算ソフトの整理だけで十分な場合もあります。現在の工数、担当者数、誤りの頻度、判断が遅れる損失を測ってから、仕組みの大きさを決めます。

横展開:毎月同じCSVを加工する業務へ応用できる

同じ考え方は、印刷・販促以外の業種でも使えます。

  • 製造業:生産数、不良数、原価の月次集計
  • 卸売業:商品別売上、在庫、粗利の確認
  • 建設業:案件別の進捗、外注費、入金予定
  • サービス業:店舗別売上、予約、担当者実績

共通する合図は、「毎月同じCSVを開き、同じ列を削り、同じ式をコピーしている」です。

最初に一つの月次資料だけを選び、作業時間、修正回数、締めから確認までの日数を測ります。削減時間だけでなく、誰が数字を見てどんな判断を早められたかも成果に含めます。

まとめ:月次集計の自動化は、経営判断の入口を整えること

この公開事例では、約10人日かかっていた月次集計が1人で1日未満になりました。工数は約10分の1。締め後1〜2日で数字を確認できるようになっています。

成功の理由は、高機能な画面を一度に作ったことではありません。作業を分解し、正しい数字を決め、全社合計から始め、利用者ごとに広げた順番です。

毎月の集計に何日もかかる、担当者しか式を直せない、資料はあるのに判断へ使えない。そんな状態なら、まず一つのCSVと一つの報告書の流れから見直せます。

気になる業務があれば、お気軽にお声がけください。弊社では、情報をためる場所づくりから、見える画面、毎月の自動取込まで、中小企業の規模に合わせて伴走しています。

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