従業員25名の機械製造業/技術翻訳2〜3週間を1日にした事例
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海外から引き合いが来ても、仕様書や取扱説明書をすぐに出せなければ商談は進みません。一般的な文章と違い、機械の技術文書では部品名、単位、安全上の注意、各国の規格を正確に扱う必要があります。翻訳が自然でも、技術的な意味が変われば大きな問題になります。

この機械製造会社では、技術文書の翻訳に年間200万円、一案件あたり2〜3週間かかっていました。翻訳後は技術者が全文を確認し、専門用語を修正します。翻訳精度を社内指標で評価すると75%で、技術的な誤解による失注が年3〜4件発生していました。

そこで、過去に確認済みの対訳、社内の専門用語、製品ごとの表現ルールを整理し、業務用に調整したAIで翻訳の初稿を作る仕組みを導入しました。AIの出力は必ず技術者と海外営業が確認し、安全に関わる文書は承認者を分けます。

その結果、翻訳期間は2〜3週間から1日へ短縮。年間費用は200万円から40万円、翻訳精度は75%から95%へ改善しました。海外商談の成約率も35%から48%へ変化し、海外営業へ使える時間は週5時間から15時間に増えました。

※掲載数値はマスターCSVに記録された当該事例の実績値です。「翻訳精度95%」は社内の評価基準による値であり、AI翻訳だけで安全性や法令適合を保証するものではありません。

課題:翻訳待ちで、商談の熱が下がっていた

導入前は、日本語の技術文書を準備し、翻訳会社へ依頼し、返ってきた訳文を技術者が確認し、修正を戻す流れでした。専門用語の確認が多い案件では、修正の往復だけで数日かかります。

社長は「翻訳費用が高く、海外向けの資料を増やしにくい」と感じていました。技術者からは「文章は自然でも、部品の動きが別の意味に読めることがある」という声が出ていました。海外営業は「翻訳を待っている間に、先方の検討が進んでしまう」と悩んでいました。

費用と時間だけが問題ではありません。同じ日本語でも、担当する翻訳者によって用語が変わることがありました。過去の文書では「締め付けトルク」に使った表現が、新しい資料では別の言葉になる。顧客から見ると、同じ部品なのか、別の条件なのか分かりにくくなります。

技術者は翻訳の専門家ではありませんが、製品の意味を理解しているため、最終確認から外せません。月20時間を翻訳確認に使い、本来の設計や改善業務が圧迫されていました。

施策:確認済みの言葉を蓄積し、人が承認する流れを作った

今回のポイントは、無料の翻訳画面へ文書を貼り付けることではありません。会社で確認済みの言葉を再利用し、文書の重要度に応じて確認方法を変える仕組みです。

ステップ1:過去文書から対訳と表現ルールを集める

まず、過去の仕様書、取扱説明書、提案資料、メールのうち、技術者と顧客が確認済みのものを集めました。日本語と外国語の組み合わせを抜き出し、製品名、部品名、工程、警告文、単位表記ごとに整理します。

古い表現や統一されていない言葉もあったため、集めたものをそのまま正解にはしません。技術担当と海外営業が確認し、現在使う推奨表現、使用を避ける表現、国ごとの違いを決めました。

ステップ2:文書を重要度で分ける

すべての翻訳を同じ確認方法にしませんでした。営業メールや概要資料は速さを重視し、仕様書、安全上の注意、契約に関わる文書は複数人で確認します。

特に、人身事故や機械損傷につながる可能性がある警告文は、AIの出力だけで確定しません。技術責任者が原文と訳文を照合し、必要に応じて現地の規格や専門家へ確認します。

ステップ3:AIが初稿を作り、用語の不一致を示す

業務用に調整したAIへ文書を渡すと、確認済みの対訳と用語集を優先して初稿を作ります。推奨語と異なる箇所、数字や単位が変わっている箇所、原文の意味が曖昧な箇所を確認対象として表示します。

目指したのは「人が読まなくてよい翻訳」ではありません。人が見るべき場所を絞り、全文を一から訳し直す負担を減らすことです。AIが判断に迷った箇所を隠さず出すようにしました。

ステップ4:技術者と海外営業で役割を分ける

技術者は、数値、単位、部品、動作、安全性を確認します。海外営業は、顧客に伝わる表現、現地で一般的な言い方、商談の目的に合っているかを確認します。

一人がすべてを見る方法をやめ、確認内容を分けました。修正理由も用語集へ戻すため、次の翻訳では同じ指摘が減ります。

ステップ5:送付版と確認履歴を残す

顧客へ送った最終版、承認者、修正箇所、送付日を記録しました。後から似た資料を作る時は、AIの初稿より、実際に承認された文書を優先して参照します。

版の取り違えを防ぐため、作業中、確認済み、送付済みを区別しました。翻訳の速さを上げても、古い資料を送ってしまえば意味がありません。

成果:即日で初稿を出し、技術者の確認時間も減らせた

項目BeforeAfter変化
翻訳期間2〜3週間1日約95%短縮
年間翻訳費用200万円40万円160万円削減(80%)
翻訳精度(社内指標)75%95%20ポイント向上
海外商談成約率35%48%13ポイント向上
翻訳業務月20時間月3時間月17時間削減
技術確認作業週8時間週2時間週6時間削減
海外営業活動週5時間週15時間週10時間増加

一番大きな変化は、引き合いに対する初動です。2〜3週間待っていた技術資料を、確認を含めて1日で準備できるようになりました。商談中に追加資料を求められた時も、検討の熱があるうちに返答できます。

年間費用は160万円減りました。ただし、外部翻訳をすべてやめたわけではありません。安全性、法務、現地規格など専門確認が必要な文書には外部の専門家を使い、社内で繰り返し発生する資料の初稿と用語統一を仕組みに任せました。

技術者の確認作業は週8時間から2時間になりました。確認箇所が絞られ、同じ用語を何度も直す必要が減ったためです。海外営業も週15時間を顧客対応へ使えるようになり、成約率は35%から48%へ変化しました。

なぜ効果が出たのか

1.一般的な翻訳より、自社で確認済みの言葉を優先した

機械製造では、自然な文章より用語の一貫性が重要な場面があります。社内の対訳と過去の承認文書を基準にしたことで、担当者ごとの表現差を減らせました。

2.AIの誤りを前提に確認を設計した

AIは数字、否定表現、単位、似た部品名を誤る可能性があります。「高精度だから確認しない」ではなく、「誤りやすい場所を人が見る」流れにしたことが安全性と速度の両立につながりました。

3.修正を次回へ残した

技術者が直した用語と理由を保存し、次の初稿へ反映しました。毎回同じ修正を繰り返さないため、使うほど確認時間を減らせます。

部品メーカー、装置保守、技術商社、輸出支援にも応用できる

  • 部品メーカー:仕様表、検査成績書、梱包指示の用語を統一
  • 装置保守会社:作業手順、点検報告、故障説明の対訳を蓄積
  • 技術商社:仕入先資料を顧客向けの説明へ整え、確認履歴を残す
  • 輸出支援会社:企業ごとの用語集と承認手順を分けて管理

共通するのは、同じ専門用語と定型文を何度も翻訳していることです。最初から全資料へ広げず、よく使う製品一つ、言語一つ、文書種類一つから始めると、確認基準を作りやすくなります。

情報管理:技術情報を守り、AIへ渡す範囲を決める

未公開製品の仕様、図面、顧客名、輸出条件は重要な機密情報です。AIサービスを選ぶ際は、入力データが学習に使われるか、どこに保存されるか、削除できるか、管理者が利用者を制限できるかを確認します。

試験段階では顧客名や製品番号を伏せ、公開済み資料や機密性の低い文書から始めます。アクセスできる担当者を限定し、送付版と作業版を分け、退職・異動時には権限をすぐ変更します。

また、国際取引では輸出管理や現地法令の確認が必要な場合があります。翻訳できたことと、輸出・販売できることは別です。必要な承認を飛ばさない運用が前提になります。

まとめ:翻訳を速くしたのは、AIより「確認済みの言葉」の蓄積

この機械製造会社では、技術翻訳を2〜3週間から1日へ短縮し、年間費用を200万円から40万円へ減らしました。成果の土台は、過去の対訳、専門用語、承認履歴を整理し、次の文書で再利用できるようにしたことです。

AIは初稿を速く作れます。しかし、安全性と技術的な正しさの責任までは引き受けません。技術者と海外営業が見る場所を分け、重要文書は複数人で承認する。この線引きがあるから、海外商談の速度を上げながら品質を守れます。

気になる業務があれば、お気軽にお声がけください。弊社では、中小企業のAI活用・業務システムづくりを、情報管理と社内の確認手順まで含めて伴走支援しています。

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