中部地方のホームセンター・販売スタッフ・従業員20名の事例
課題:季節商品が多く、陳列変更の判断が属人化していた
愛知県岡崎市のホームセンターでは、DIY用品、園芸用品、工具、日用品など約5000品目を扱っていました。
季節によって売れる商品が変わります。
春は園芸、夏は暑さ対策、秋は防災、冬は暖房用品。
売場を変える必要は分かっていても、何をどこへ置くかはベテランスタッフの経験に頼っていました。
売場担当の方はこう話していました。
「売場づくりが得意な人がいる日は早いんです。でも、その人が休みだと判断に時間がかかります」
陳列変更には週8時間ほどかかり、スタッフへの指示にも週3時間ほど使っていました。
施策:商品特性と売場の考え方を整理した
弊社では、AIに売場を勝手に決めさせるのではなく、まず陳列判断に必要な情報を整理しました。
ステップ1: 商品を分類する
商品を、季節商品、定番商品、利益率の高い商品、関連買いが起きやすい商品に分けました。
たとえば、園芸用品なら土、肥料、手袋、プランターを近くに置くなど、関連する買い物の流れを見える化しました。
ステップ2: 売場の優先順位を決める
入口付近、通路沿い、レジ前、奥の棚など、場所ごとの役割を決めました。
すべての商品を目立たせることはできません。
そのため、「今月は何を主役にするか」を先に決める流れにしました。
ステップ3: 陳列変更の指示書を作る
季節、売れ筋、在庫、関連商品を入力すると、陳列変更の案と作業指示を作る仕組みにしました。
AIは配置案のたたき台を作りますが、最終判断は店長と売場担当が行います。
成果:陳列変更時間が週8時間から4時間へ
導入後、売場変更の時間は大きく短縮されました。
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 陳列変更時間 | 週8時間 | 週4時間 |
| 指導時間 | 週3時間 | 週1時間 |
| 売場効率 | 60% | 85% |
| 月間売上 | 2000万円 | 2500万円 |
| 判断の属人化 | ベテラン頼み | 指示書で共有 |
販売スタッフの方はこう言っていました。
「どこに何を置くかで迷う時間が減りました。新人にも説明しやすいです」
現場では、作業時間の短縮だけでなく、スタッフ間の認識がそろったことが大きな効果でした。
なぜ効果が出たか
効果が出た理由は、売場づくりを「センス」だけにしなかったことです。
もちろん、現場の感覚は重要です。
しかし、その感覚を毎回口頭で伝えていると、担当者によって品質が変わります。
今回は、商品分類、売場の役割、季節の優先順位を整理しました。
そのうえで、AIには作業指示のたたき台を作らせました。
つまり、AIを売場の責任者にしたのではなく、売場担当が判断しやすくなる補助役にした形です。
他の業種でも応用できます
この考え方は、小売業全般で使えます。
ドラッグストアなら、季節商品、健康食品、日用品の配置。
アパレルなら、季節、サイズ、コーディネートの組み合わせ。
雑貨店なら、ギフト需要、価格帯、入口導線。
食品スーパーなら、特売、関連商品、夕方需要。
どの業種でも、売場変更の判断を見える形にすると、作業が早くなります。
導入時に気をつけたこと
小売店の売場づくりでは、数字だけで判断できない部分があります。
地域のお客様の動き、天候、近隣イベント、スタッフの経験。こうした現場感はとても大事です。
そのため、AIに「最適な陳列を決めて」と任せる形にはしませんでした。
まず、売場担当者が判断しやすくなる材料をそろえました。
今月の重点商品。
在庫が多い商品。
関連して買われやすい商品。
入口近くに置きたい商品。
レジ前で案内したい商品。
これらを一覧にして、AIには配置案と作業指示のたたき台を作らせました。
最終的には、店長と売場担当が現場を見て判断します。
担当者の方はこう話していました。
「AIが決めるのではなく、考える材料を出してくれるのがちょうどいいです」
この距離感が、現場で受け入れられた理由でした。
現場に定着させるために行ったこと
陳列変更の指示書は、作業順にしました。
どの商品を下げるか。
どの商品を前に出すか。
関連商品をどこに置くか。
POPをどこに付けるか。
作業後に何を確認するか。
この順番です。
以前は、ベテランスタッフが口頭で指示していました。
しかし、口頭指示だけでは聞き漏れが起きます。途中で別のお客様対応が入ると、どこまで作業したか分からなくなることもありました。
指示書にしたことで、途中参加のスタッフでも作業に入りやすくなりました。
また、作業後の写真を残すようにしました。
翌週の売場変更時に、前回の配置を見ながら改善できます。
これにより、売場づくりが一回きりの作業ではなく、改善の積み重ねになりました。
副次効果:新人スタッフの売場理解が早くなった
売場の考え方を整理したことで、新人スタッフの理解も早くなりました。
以前は、「なぜこの商品を入口に置くのか」「なぜ関連商品を近くに置くのか」が分かりにくい状態でした。
導入後は、指示書に理由も一言添えました。
「園芸シーズンのため入口で訴求」
「土と手袋は一緒に買われやすい」
「在庫が多いため通路沿いで展開」
理由が分かると、スタッフは単なる作業ではなく売場の意図を理解できます。
店長さんはこう言いました。
「新人が、次はこう置いた方がいいですかと提案してくれるようになりました」
業務を見える形にすると、現場の判断力も育ちます。
数字の見方:売場変更時間の短縮は接客時間を増やす
陳列変更時間が週8時間から4時間になったことで、浮いた時間は単なる作業削減にとどまりませんでした。
ホームセンターでは、お客様から商品場所や使い方を聞かれる場面が多くあります。
売場変更に時間を取られていると、接客に入れるスタッフが減ります。
導入後は、作業指示が明確になったため、短時間で売場を整えられるようになりました。
その分、スタッフがお客様に商品の違いを説明したり、関連商品を案内したりする時間が増えました。
売場効率の改善は、棚の見た目だけの話ではありません。
お客様が探しやすくなり、スタッフも説明しやすくなります。
月間売上の改善には、陳列そのものだけでなく、こうした接客時間の増加も影響しています。
作業を減らすことは、現場のサービス時間を取り戻すことでもあります。
まとめ
今回のホームセンターでは、AIを使って陳列を自動で決めるのではなく、売場判断の材料を整理しました。
その結果、陳列変更時間は週8時間から4時間になり、スタッフへの指示時間も減りました。
気になる業務があれば、お気軽にお声がけください。
弊社では中小企業のAI活用・システム開発の伴走支援を行っています。