従業員25名の建設会社/給与処理を5日から1日、担当を最大3名から1名へ
建設・リフォーム業 × 経理・給与担当 × 従業員25名の公開事例

※本記事はIT導入補助金2024の公開事例をもとに、同規模企業が改善手順を検討しやすいよう編集部が再構成したものです。弊社の直接支援実績を示すものではありません。会話表現は公開資料の課題を読者向けに再構成しています。

給与計算の締切は待ってくれません。

従業員25名の建設・リフォーム会社では、仕訳や請求管理の負担に加え、勤怠管理と給与計算が別々に動いていました。

給与振込までの日程が厳しく、最大3名で5日かけて処理。

クラウド会計を導入し、勤怠、給与計算、振込までを一つの流れへつないだ結果、公開資料では担当を最大3名から1名へ、作業期間を5日から1日へ短縮しています。

AIは勘定科目を提案する補助役です。

最終的な仕訳、給与、振込を確定するのは人。この境界を残したまま、転記と重複確認を減らしたことがポイントです。

課題:勤怠を締めてから、給与へもう一度入れ直す

公開資料の状態を現場会話として再構成すると、次のようになります。

「勤怠の修正は終わりましたか」

「現場から一件、残業時間の確認待ちです」

「給与ソフトへ入れた数字と合っていますか」

「振込期限が近いので、もう一人にも確認してもらいます」

建設業では、現場ごとに勤務時間や手当の条件が違うことがあります。

勤怠の修正が給与計算へ反映されなければ、差し戻しが発生します。さらに、請求と会計が別の仕組みにあると、月末は複数の締切が重なります。

担当者の経験で「いつ、どこを確認するか」を覚えている状態では、休みや退職の時に業務が止まりやすくなります。

AI自動仕訳だけでは解決しない

仕訳候補が自動で出ても、その前の請求データが重複していれば正しく処理できません。

勤怠、給与、振込がつながっていなければ、給与業務の転記も残ります。

今回の事例は、AI機能だけを追加したのではなく、会計と給与の前後をまとめて見直しています。

施策:勤怠から振込までを一つの流れへ

ステップ1:締め日と確認者を固定する

まず、現場から勤怠を集める日、修正を締める日、給与を確認する日、振込を確定する日を並べます。

「急ぎだから全員で確認する」状態をやめ、各段階の責任者を決めます。

異常値だけを責任者へ回せるよう、残業時間、欠勤、手当、前月差などの確認条件も決めます。

ステップ2:同じ従業員情報をつなぐ

勤怠と給与で氏名表記や従業員番号が違うと、連携しても照合が必要です。

従業員番号、所属、雇用区分、手当条件など、共通の基準を一つにします。

個人情報を扱うため、閲覧できる人も必要最小限へ絞ります。

ステップ3:AIの提案と人の確定を分ける

AIが過去データを基に勘定科目を提案すれば、毎回ゼロから考える負担を減らせます。

ただし、提案をそのまま確定しません。

新しい取引、金額の大きい取引、前月と異なる取引は人が根拠資料を確認します。修正した内容は次回の判断材料として残します。

ステップ4:振込前の照合を一枚にする

振込前には、総支給額、控除額、差引支給額、前月差、勤怠の未確定件数を一画面で確認します。

複数のExcelを開き、電卓で合計する状態を残さないことが重要です。

ステップ5:一人で回せても、一人に閉じない

担当が最大3名から1名になっても、属人化してはいけません。

締め日の手順、エラー時の戻し方、担当不在時の代行者、問い合わせ先を手順書へ残します。

効率化で減らすのは必要作業の重複であり、牽制や承認ではありません。

成果:5日から1日、最大3名から1名へ

項目BeforeAfter
給与処理の期間5日1日
必要人員最大3名1名
勤怠・給与・振込別々に処理一連の流れで処理
仕訳経験に頼る部分が大きいAIが勘定科目を提案
最終確定複数資料を個別確認人が例外と根拠を確認

期間は80%短縮しています。

人員は「最大3名から1名」という公開資料の表現を維持します。常に3名が専任だったとは限らないため、3人分の人件費がなくなったとは書けません。

短縮できた時間は、未収確認、資金繰り、現場別の収支確認など、経営に近い仕事へ振り向けられます。

なぜ効果が出たのか

第一に、給与計算だけでなく、勤怠と振込までつないだからです。

第二に、AIを「自動で確定する役」ではなく「候補を出す役」に置いたからです。

第三に、担当者の頭の中にあった確認順を、日程と画面へ移したからです。

AIは、整理された過去データから候補を出すのは得意です。一方、契約変更、例外的な手当、法令上の判断まで会社の責任に代わって決めるものではありません。

建設業以外にも応用できる

  • 介護・福祉:シフト、勤怠、夜勤手当、給与
  • 飲食業:店舗別勤怠、深夜時間、給与
  • 運送業:運行記録、時間外、各種手当
  • 専門サービス業:案件別工数、請求、会計

共通する第一歩は、現在の給与処理を「収集」「修正」「計算」「確認」「振込」に分け、同じ数字を再入力している場所を探すことです。

公開資料は2024年度の活用事例です。現在の製品機能、料金、法令、補助制度は導入時点で確認してください。給与・会計データは個人情報と機密情報を含むため、権限、操作履歴、バックアップ、退職者のアクセス停止も設計に含めます。

1日で終わる状態を守るための例外管理

給与業務は、通常月だけを基準にすると繁忙月で崩れます。

入退社、昇給、賞与、休職、年末調整、制度変更など、例外が増える月を別に確認します。

  • 通常と異なる手当を誰が登録したか
  • 勤怠の修正が給与へ反映されたか
  • 前月比が大きい従業員を確認したか
  • 振込データ作成後に変更が入っていないか
  • 変更履歴と承認者が残っているか

AIが過去の仕訳から候補を出す場合も、新しい取引先や新しい費目は過去と同じとは限りません。候補の確信度が低い時や、一定金額を超える時は、人の確認へ回します。

担当者が一人で処理できるようになった後こそ、代行テストが必要です。

四半期に一度、手順書だけを見て別の担当者が確認画面まで進めるかを試します。分からなかった箇所は、その場で手順書へ追加します。

バックアップも「保存できた」だけでは不十分です。給与台帳や会計データを実際に戻せるか、対象期間と責任者を決めて確認します。

効率化の完成形は、一人しか分からない状態ではありません。

一人で回せるほど整理され、必要な時には別の人が安全に引き継げる状態です。これが、5日から1日という成果を長く維持する土台になります。

気になる業務があれば、お気軽にお声がけください。

弊社では、中小企業の勤怠・給与・会計をつなぎ、確認を残したまま事務負担を減らす仕組みづくりを支援しています。

無料相談はこちら