約150現場のビルメンテナンス会社/経理2名の決算期残業をほぼゼロへ
ビルメンテナンス業 × 総務・経理・案件管理 × 約150現場の公開事例(従業員総数は原本未記載)

福岡県の朝日ビルメンテナンスは、清掃、設備保守、警備などを約150の現場で担う会社です。

現場従事者の60歳以上が44%。70歳以上は100名を超え、最高齢は83歳。使う人の年齢も経験も幅が広いため、「新しい画面を入れれば全員の仕事が速くなる」とは限りません。

一方、総務・経理側には、複雑な契約情報と現場から集まるデータが集中していました。案件管理に使っていたExcelは、複数人で同時に入力しづらい、上書きが起きる、データ量が増えるとエラーになるという状態です。

同社は、入力画面と一覧表だけの小さな案件管理から始め、案件、契約、請求、会計をつなぐ会社の土台へ育てました。

公開事例では、経理担当者2名のまま、決算期の残業がほぼゼロになったと報告されています。

課題:一つの契約に複数の仕事と時間軸が入っていた

ビルメンテナンスの契約は、単純な一行では表せません。

一つの建物に、清掃、設備、警備が関わる。日次、週次、月次、年次の作業が同時に走る。実施結果だけでなく、手順、道具、頻度、記録方法まで契約条件になる場合があります。

そのため、既製の仕組みに会社の仕事を無理に合わせると、例外が紙やExcelへ戻ります。

改善前には、主に三つの詰まりがありました。

  • Excelを複数人で扱いにくく、上書きやエラーが起きる
  • 契約、請求、会計の間で同じ情報を入れ直す
  • 現場や業務担当の情報が経理へ集まり、確認と入力が集中する

最初の試作を見たスタッフからは、製品名を別の言葉と取り違えるほど、新しい道具が身近でなかったことを示す反応もあったと報告されています。

ここで同社は、全員へ一度に覚えてもらう道を選びませんでした。

施策:入力画面と一覧表だけから始めた

ステップ1:無料試用で一つの案件管理だけ作る

最初に作ったのは、入力画面と一覧表だけの簡単な仕組みです。

いきなり会社全体の基幹システムを作らず、Excelで困っていた案件管理を先に移しました。小さく出すことで、画面の分かりにくさや入力の負担を早い段階で確認できます。

ステップ2:関心を持った一人と広げる

業務スタッフの一人が改善へ加わり、顧客や物件の基本情報、従業員名簿、見積管理へ範囲を広げました。

全員を最初から開発担当にするのではなく、現場の言葉を分かる人と小さく改善した点が重要です。

ステップ3:案件から会計まで情報をつなぐ

案件、契約、請求の情報をkintoneへ集め、会計側の奉行シリーズとつなぎました。

請求管理の一覧からボタンを一度押すと、仕訳に必要な情報が渡る流れです。以前のようにファイルを出し入れし、同じ項目を打ち直す工程を減らしました。

ステップ4:外注と内製を分ける

旧システムの期限まで10か月しかなかったため、根幹の設計と連携は実績のある外部会社へ依頼しました。

一方、日々の保守や小さな改善は社内で続ける形にしました。「全部自社」「全部外注」の二択にしなかったのです。

ステップ5:入口を一つにする

利用者が迷わないよう、社内ポータルから主要画面を一度で開ける入口を用意しました。

複雑な契約構造は仕組みの内側で処理し、使う人には必要な画面だけを見せます。

成果:二重入力を減らし、確認先を分散した

項目BeforeAfter
案件管理同時入力しづらいExcel、上書き・エラー複数担当が同じ情報を確認できる案件管理
会計への受け渡しファイル出力や再入力が必要請求一覧から一度の操作で仕訳情報を連携
情報確認経理が集めて回答各担当が情報の拠点から確認
経理体制2名、決算期に作業集中2名のまま決算期残業がほぼゼロ
費用専用システム更新案更新案より28%低い費用を見込む

28%は導入後の確定削減額ではなく、専用システムを更新した場合との比較見込みです。また、残業ほぼゼロは同社の公開事例であり、他社へ同じ結果を保証する数字ではありません。

同社は、情報を受け取る側へ新しい作業が生まれたことも課題として挙げています。負担が消えたのではなく、適切な担当へ移った面があります。

なぜ効果が出たか:現場へ複雑さを押し付けなかった

一つ目の理由は、会社全体ではなく、痛みの大きい案件管理から始めたことです。

二つ目は、入力する人に複雑な構造を覚えさせず、画面の内側で契約明細を作れるようにしたことです。

三つ目は、根幹を作る人と日々直す人を分けたことです。

そして四つ目は、削減時間だけでなく、使う人、負担が集中する部署、現場への影響を判断材料にしたことです。

他の業種へ横展開できる考え方

この進め方は、複数のサービスと請求周期を持つ会社でも応用できます。

  • 設備工事会社:現場、見積、作業報告、請求をつなぐ
  • 清掃会社:定期作業と臨時作業を一つの契約へまとめる
  • 保守会社:点検周期、交換部品、報告書、請求をつなぐ
  • 介護・福祉事業者:拠点、利用者、記録、請求の入口を整理する

始める時は、会社全体の完成図より、「今いちばん同じ情報を打ち直している場所」を一つ選ぶ方が進みます。

自社で試す前に作りたい「一枚の業務地図」

同じ進め方を自社で試すなら、製品の比較表より先に、対象業務を一枚へ書き出します。

まず左端に、情報が生まれる場所を書きます。問い合わせ、現場報告、見積依頼、契約変更などです。中央には、担当者が転記・確認・承認している工程を並べます。右端には、請求、会計、顧客への報告といった出口を書きます。

そのうえで、各工程に次の四つを付けます。

  • 同じ情報を何回入力しているか
  • 間違えた時に誰が気付くか
  • 例外処理を判断できる担当者は誰か
  • 月末や決算期だけ増える作業は何か

最初の対象は、件数が最大の業務とは限りません。「二重入力がある」「確認先が一人に集中する」「小さく試せる」の三条件がそろう場所が候補です。

試作後は、入力時間だけで判定しません。差し戻し件数、確認待ち時間、経理への質問件数、現場が迷った回数も記録します。朝日ビルメンテナンスの事例でも、情報を受け取る側へ新しい作業が移った点が課題として残りました。部署全体で負担がどう動いたかを見る必要があります。

また、連携ボタンが動くことと、会計処理が正しいことは別です。勘定科目、税区分、締め後の修正、権限、操作履歴を経理担当と確認し、旧手順へ戻せる期間を置きます。小さく始めるとは、確認項目を減らすことではなく、確認できる範囲に対象を絞ることです。

気になる業務があれば、お気軽にお声がけください。弊社では、中小企業の業務に合わせた入力画面、社内ポータル、AI活用、既存サービス連携の伴走支援を行っています。

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