■ 支援前の課題
客室数40室の地方ホテル。
近隣ホールでのコンサートやスポーツイベントがある週末は、例年満室になる人気日。
しかし、スタッフがイベント開催に気づいて料金を変えようとする頃には、すでに競合ホテルが価格を引き上げた後ということも多く、平均客室単価(ADR)は12,800円にとどまっていました。
「満室になるのに、思ったほど利益が出ない」
——そんなもどかしさが、運営側の課題として浮上していました。
■ 行った施策
課題であった「価格調整のタイミング精度を上げる」という目標を研修内のヒアリングをもとに整理。
多忙な現場でも活用できるよう、イベント・価格変動の事前検知と自動提案の仕組みを構築しました。
近隣イベント情報の自動取得
AIが観光協会やSNS、チケット販売サイトなどを定期的に確認し、20km圏内での開催イベント(ライブ、スポーツ大会など)を一覧化。
競合価格の変動検知
主要OTAの類似ホテル5件の料金を定期取得し、イベントとの相関を分析。
価格提案と通知
「◎◎ホールでイベント予定あり」「推奨価格 16,000〜17,500円」など、開催30〜45日前にLINE通知でアラート。
運用の簡素化
OTA連携用のGoogleスプレッドシートからワンクリックで価格反映できる設計に。スタッフは毎朝のダッシュボード確認だけで、対応が完了します。
■ 施策後の成果
「満室でも利益が出ない」と悩んでいた運営が、"収益性の高い満室"を狙ってつくれるように変化。
「今までは気づいても動けなかったが、AIが先回りで教えてくれるから迷わず価格調整できる」
と、スタッフからも前向きな声があがりました。
■ まとめ
スタッフごとに判断がばらつきやすかった価格調整を、「AIによる事前提案」と「シンプルな操作設計」によって、誰でも迷わず対応できる業務へと再構築できました。
イベント日だけでなく、閑散期の集客アイデアづくりにもAIを活用しはじめ、価格戦略が現場の負担ではなく、"売上向上のチャンス"として認識されるように。
今後は、顧客レビューや地域の天候情報も加味した"より精度の高いプラン提案"にも取り組みながら、地方ホテルとしての持続的な成長を目指しています。