この記事の要点
新人が「わからない用語」で躓かない。研修動画からAIが用語集を自動作成
社内研修動画をGeminiに読み込ませるだけで専門用語集を自動生成。新人の理解度向上と教育担当者の負担軽減を同時に実現した事例をご紹介。
1. 支援前の課題
従業員35名規模の専門商社で、新人研修の効率化が課題となっていました。業界特有の専門用語が多く、新入社員が研修動画を視聴しても内容を十分に理解できないケースが頻発していたのです。
「研修動画を見ても専門用語がわからず、何度も巻き戻している」
「用語の意味を調べる時間が長く、動画視聴に集中できない」
「同じ質問を何人もの新人から受けて、教育担当者の負担が大きい」
この会社では、過去に録画した社内勉強会や製品研修の動画を新人教育に活用していました。しかし、動画内では専門用語が当然のように使われており、業界未経験の新入社員には理解が難しい状況でした。
新入社員は動画を視聴しながら、わからない用語をその都度検索したり、先輩社員に質問したりする必要がありました。1時間の研修動画を理解するのに2〜3時間かかるというケースも珍しくありませんでした。
また、教育担当者にとっても負担が大きい状況でした。同じような基本的な質問を複数の新人から繰り返し受けることになり、本来の業務に支障をきたすこともありました。用語集を手作業で作成することも検討しましたが、動画の内容を確認しながら用語を抽出・整理する作業は膨大で、実現に至っていませんでした。
2. 行った施策
研修動画をGeminiに読み込ませて、動画内で使用されている専門用語の用語集を自動生成する仕組みを構築しました。動画ファイルをそのままアップロードするだけで、AIが内容を分析して用語集を作成してくれます。
Step 1:Geminiへの動画アップロード
Googleドライブに保存されている研修動画をGeminiに添付します。Geminiは動画の音声を認識し、内容を理解することができます。1時間程度の動画であれば問題なく処理可能です。
Step 2:用語集生成のプロンプト実行
「この動画内で言及されている業界用語・専門用語を抽出し、それぞれの意味を初心者向けにわかりやすく説明した用語集を作成してください」と指示します。Geminiが動画の内容を分析し、専門用語とその解説をリスト形式で出力してくれます。
Step 3:用語集の整形・補足
AIが生成した用語集を教育担当者がレビューし、必要に応じて補足説明を追加します。社内独自の用語や、業界の慣習に関する説明など、AIだけでは対応しきれない部分を人間が補います。
Step 4:研修資料としてセット配布
完成した用語集を研修動画とセットで新入社員に配布します。動画視聴前に用語集に目を通しておくことで、動画の内容がスムーズに理解できるようになりました。
導入のポイント
- 動画ファイルをそのままアップロードするだけで用語抽出が可能
- 初心者目線での解説を指示することで、わかりやすい用語集に
- 一度作成した用語集は継続的に活用可能
- 新しい研修動画を追加するたびに用語集を拡充できる
3. 施策後の成果
研修動画の理解にかかる時間が約50%削減され、新入社員がより効率的に学習できるようになりました。また、教育担当者への基本的な質問が75%減少し、担当者の負担も大幅に軽減されました。
教育担当者は基本的な用語説明から解放され、より実践的な指導や個別のフォローに時間を使えるようになりました。
また、用語集があることで新人が自己学習しやすくなり、主体的な学習姿勢が育つという副次的な効果も生まれています。
「用語集を先に読んでおくと、動画の内容がスムーズに頭に入ってくる」「わからない言葉をすぐに確認できるので、動画を止める回数が減った」「AIがこんなに簡単に用語集を作れるなんて驚いた」
といった現場からの評価を得ています。
特に好評だったのは、AIが「初心者目線」で用語を解説してくれる点です。業界経験者が書いた用語集は、どうしても前提知識を求める説明になりがちですが、AIに「業界未経験者向けに」と指示することで、本当の初心者でも理解できる説明が生成されました。
現在では、新しい研修動画を作成するたびに用語集も同時に生成するフローが定着しており、研修コンテンツの品質が継続的に向上しています。
4. まとめ
研修動画の活用は多くの企業で行われていますが、「専門用語がわからない」という新人の声は見過ごされがちです。用語集を手作業で作成するのは手間がかかるため、対応が後回しになることも多いでしょう。
今回の事例では、Geminiの動画分析機能を活用することで、数日かかっていた用語集作成を30分程度に短縮しました。特別な技術スキルは不要で、動画をアップロードしてプロンプトを入力するだけで実現できます。
重要なのは、AIが生成した用語集を人間がレビューすることです。AIは動画内の用語を網羅的に抽出してくれますが、社内独自の用語や文脈依存の説明は人間が補足する必要があります。AIと人間の役割分担を明確にすることで、効率的かつ高品質な研修資料が作成できます。
専門用語が多い業界や、動画を活用した研修を行っている企業には、ぜひ試していただきたいアプローチです。新人教育の質を向上させながら、教育担当者の負担を軽減できる一石二鳥の施策となります。
この事例で確認した実務ポイント
対象業種: サービス業
支援の観点: 業務フローの棚卸し、既存ツールの整理、現場で使い続けられる運用設計、導入後の定着確認。
同じ課題に向く企業: IT担当者が不在、紙や表計算での管理が限界、AIや自動化を試したいが社内だけでは進めにくい企業。