【NotebookLM×社内ナレッジ】マニュアル・規程をAIに学習させて「いつでも聞ける」環境を構築した介護事業者の事例

この記事の要点

【NotebookLM×社内ナレッジ】マニュアル・規程をAIに学習させて「いつでも聞ける」環境を構築した介護事業者の事例

NotebookLMで社内マニュアルや規程を読み込ませ、従業員がいつでも質問できるAIナレッジベースを構築。介護事業者の導入事例をご紹介します。

効率化本文内で確認できる成果・規模
22名本文内で確認できる成果・規模
20分本文内で確認できる成果・規模
10件本文内で確認できる成果・規模

導入前の課題

「誰に聞けばいいかわからない」現場の声

群馬県で訪問介護とデイサービスを運営するB社では、22名の従業員が日々の業務に取り組んでいます。介護サービスを提供する上では、介護保険制度のルール、社内の業務手順、緊急時の対応マニュアルなど、様々な規程やマニュアルに従う必要があります。

しかし、これらの資料は作成された時期も形式もバラバラで、Google ドライブや共有フォルダ、紙のファイルなどに分散して保管されていました。新人スタッフはもちろん、ベテランスタッフでさえ「あのマニュアルどこにあったっけ?」と探し回ることが日常茶飯事でした。

現場で発生していた典型的な問題

  • 「探す時間」の浪費:必要な情報を探すのに平均15〜20分かかる
  • 「聞く相手」への依存:結局ベテランスタッフに質問が集中
  • 「初歩的な質問」への躊躇:基本的なことを聞くのが恥ずかしいという心理的障壁
  • 「時間外」の対応困難:夜勤時や休日に確認したいことがあっても聞ける人がいない

介護業界特有のマニュアルの多さ

介護事業は法令遵守が厳しく求められる業界です。B社でも以下のような多種多様なマニュアル・規程を運用していました。

法令・制度関連

  • 介護保険制度の概要と算定ルール
  • 各種加算の取得要件と記録方法
  • ケアプランに基づくサービス提供の考え方

業務手順書

  • 訪問介護サービス提供マニュアル
  • デイサービス運営マニュアル
  • 送迎業務マニュアル
  • 記録・報告書の書き方ガイド

緊急時・安全管理

  • 事故発生時対応フロー
  • 感染症対策マニュアル
  • 災害時対応計画
  • ヒヤリハット報告の手順

社内規程

  • 就業規則・パート就業規則
  • 有給休暇・各種届出の手続き
  • 服務規律・ハラスメント防止規程

これらの資料を合わせると、PDFや Word文書だけで50ファイル以上、総ページ数は300ページを超えていました。このボリュームの情報を人間が瞬時に検索・参照するのは現実的に不可能でした。

「質問できる時間」の制約

訪問介護は利用者宅を一人で訪問するため、その場で上司や同僚に相談することができません。また、デイサービスのスタッフも業務中は常に利用者対応に追われており、ゆっくり質問できる時間がありません。

管理者は「スタッフから『あの書類どこ?』『この場合どうすればいい?』という質問を毎日何件も受けている。一人ひとり丁寧に答えたいが、自分自身の業務もあるので正直きつい」と当時の状況を語ります。

50+
マニュアル・規程ファイル数
15-20分
情報を探す平均時間
日10件+
管理者への質問件数

解決策:NotebookLMで「社内ナレッジAI」を構築

NotebookLMとは

NotebookLM は Google が提供するAIツールで、PDFやGoogle ドキュメントなどの資料を読み込ませると、その内容に基づいて質問に回答してくれるサービスです。一般的なAIチャットと異なり、読み込ませた資料の内容「だけ」を参照して回答するため、社内独自の規程やマニュアルについて正確に答えることができます。

NotebookLMの特徴

  • 資料ベースの回答:読み込んだ資料の内容のみを参照(勝手な創作をしない)
  • 出典の明示:回答の根拠となる資料の該当箇所を示してくれる
  • 自然言語での質問:専門用語がわからなくても、平易な言葉で質問できる
  • 無料で利用可能:Google アカウントがあれば無料で使用開始できる

導入の具体的なステップ

B社では以下の手順でNotebookLMを導入しました。

1
資料の棚卸しと整理 散在していたマニュアル・規程をリストアップし、最新版を特定。古いバージョンは除外し、現行の資料のみをGoogle ドライブにまとめる
2
NotebookLMへの読み込み 整理した資料をNotebookLMにアップロード。B社の場合、主要な資料35ファイル(約200ページ分)を読み込ませた
3
動作確認とチューニング 実際によくある質問を投げかけ、適切な回答が返ってくるかテスト。不足している資料があれば追加
4
スタッフへの展開 NotebookLMのノートブックを全スタッフに共有。使い方の簡単な説明会を実施(30分程度)

「AIを新人に見立てる」資料チューニングのコツ

NotebookLMに資料を読み込ませる際、B社では一工夫を加えました。それは「AIを新人社員に見立てて、資料をわかりやすく整理する」というアプローチです。

具体的には、専門用語に簡単な説明を追記したり、図表の内容を文章で補足したりといった修正を行いました。この作業により、AIの回答精度が向上しただけでなく、資料自体がより理解しやすいものになるという副次効果も生まれました。

資料チューニングで行ったこと

  • 略語や専門用語に()で意味を追記
  • フローチャートの内容を箇条書きで補足説明
  • 「○○については□□を参照」といった参照関係を明記
  • 更新日と作成者を資料の冒頭に記載

NotebookLMの活用例

実際の質問と回答の例

B社のスタッフが実際にNotebookLMに質問した内容と、その回答例を紹介します。

【質問】利用者さんが転倒した場合、まず何をすればいい?
転倒時の初期対応として、以下の順序で対応してください: 1. まず利用者様の意識の有無を確認します 2. 出血や骨折の有無など、外傷を目視で確認します 3. 動かせる状態であれば安全な場所に移動、動かせない場合はその場で安静に 4. 事業所(または管理者の携帯)に電話連絡します 5. 必要に応じて救急車を呼びます(判断に迷う場合は先に連絡) 【出典】事故発生時対応フロー P.3「転倒・転落事故の対応手順」
【質問】有給休暇の申請はいつまでにすればいい?
有給休暇の申請期限は以下の通りです: ・通常の場合:取得希望日の3日前まで ・連続3日以上の場合:取得希望日の1週間前まで 申請方法は、有給休暇申請書(様式第5号)に記入し、 所属長に提出してください。 緊急の場合(体調不良等)は当日の電話連絡でも可能ですが、 事後速やかに申請書を提出してください。 【出典】就業規則 第23条「年次有給休暇」、 有給休暇取得ガイドライン P.2
【質問】生活援助の時間区分って何分で区切るんでしたっけ?
訪問介護の生活援助の時間区分は以下の通りです: ・生活援助1:20分以上45分未満 ・生活援助2:45分以上 20分未満の生活援助のみのサービスは算定できません。 ただし、身体介護に引き続いて行う場合は「身体介護に引き続き 生活援助を行う場合」の加算として算定します。 【出典】介護保険制度の概要と算定ルール P.8 「訪問介護の報酬算定」

特に効果を発揮している活用場面

導入から3ヶ月が経過し、特に以下のような場面でNotebookLMが効果を発揮しています。

新人教育の補助

入社したばかりのスタッフが、研修で習った内容を復習したり、現場で迷った時にすぐ確認できる。「何度でも聞ける」安心感がある。

夜勤・休日対応

管理者が不在の時間帯でも、基本的な規程や手順を確認できる。緊急時の初動判断の補助として活用。

介護保険制度の確認

制度が複雑で覚えきれない算定ルールも、その都度確認できる。請求ミスの防止につながっている。

記録の書き方確認

「この場合、記録にどう書けばいい?」という疑問に、マニュアルに沿った回答が得られる。

導入効果と具体的な成果

数値で見る改善効果

NotebookLM導入から3ヶ月後に実施したアンケートと業務分析により、以下の効果が確認されました。

項目 導入前 導入後 改善効果
情報を探す時間(平均) 15〜20分 2〜3分 約85%短縮
管理者への質問件数 日10件以上 日3〜4件 約65%減少
新人の独り立ちまでの期間 約3ヶ月 約2ヶ月 約1ヶ月短縮
記録・報告書の差し戻し率 約15% 約5% 約67%減少

スタッフの心理的変化

数値面の改善に加えて、スタッフの意識や行動にも大きな変化がありました。

スタッフアンケートの声(抜粋)

  • 「基本的なことでも気兼ねなく確認できるようになった」(入社6ヶ月、30代)
  • 「夜勤中に迷った時、まずNotebookLMで確認するようになった」(入社2年、40代)
  • 「制度の細かいルールを毎回覚えようとしなくていいので楽」(入社5年、50代)
  • 「『聞いていいのかな』という遠慮がなくなった」(入社3ヶ月、20代)

管理者の負担軽減

管理者への質問が約65%減少したことで、管理者自身の業務にも余裕が生まれました。

「以前は『あの書類どこ?』『このやり方で合ってる?』という質問対応で1日が終わることもあった。今はスタッフがまずNotebookLMで調べてから聞いてくれるので、私が対応するのは『判断が必要な相談』だけになった。本来の管理業務に時間を使えるようになったのが一番大きい」

― 管理者(50代)

85%
情報検索時間の短縮
65%
管理者への質問減少
1ヶ月
新人育成期間の短縮

実践のポイントと注意事項

導入成功のための3つのポイント

ポイント1:最新版の資料だけを読み込ませる

古いバージョンのマニュアルや、すでに廃止された規程が混ざっていると、誤った情報を回答してしまう可能性があります。読み込ませる前に、資料の棚卸しと最新化を行うことが重要です。

ポイント2:「AIは完璧ではない」ことを周知

NotebookLMは非常に便利ですが、100%正確な回答が保証されるわけではありません。重要な判断を伴う場合や、回答に違和感がある場合は、必ず人間(上司や管理者)に確認するよう、全スタッフに周知しておくことが大切です。

ポイント3:継続的な資料メンテナンス

規程やマニュアルは更新されることがあります。NotebookLMに読み込ませた資料も、定期的に最新版に差し替える運用を決めておきましょう。B社では「月1回、第1金曜日に確認」というルールを設けています。

注意すべき点

活用上の注意事項

  • 個人情報を含む資料は読み込ませない:利用者の個人情報や従業員の個人情報を含む資料は、NotebookLMに読み込ませないよう注意
  • 判断が必要な相談はAIだけで完結しない:「この利用者さんにこのサービスを提供していいか」といった個別判断が必要な相談は、必ず人間が対応
  • 回答の根拠を確認する習慣をつける:NotebookLMは出典を示してくれるので、必ず元の資料を確認する習慣をつける

他の業種・場面への応用

今回紹介したNotebookLMの活用方法は、介護業界以外でも幅広く応用できます。

業種 読み込ませる資料 期待される効果
小売・サービス業 接客マニュアル、商品知識、クレーム対応 接客品質の均一化
製造業 作業手順書、品質基準、安全マニュアル 作業ミスの防止
建設業 施工要領書、安全規程、品質チェックリスト 現場での確認効率化
士業事務所 業務マニュアル、法令集、過去の対応事例 知識の属人化防止
一般企業(管理部門) 就業規則、各種規程、手続きガイド 総務・人事への問い合わせ削減

担当者の声

「まずAIに聞く習慣ができました。以前は『こんな基本的なこと聞いていいのかな』と躊躇することもありましたが、NotebookLMなら何度でも、どんな初歩的なことでも聞けます。資料を探す手間がゼロになっただけでなく、心理的なハードルも下がったのが大きいです」

― 訪問介護スタッフ(30代・入社8ヶ月)

「介護保険の制度は本当に複雑で、ベテランでも細かいルールは忘れることがあります。NotebookLMがあれば『たしかこうだったはず…』と曖昧な記憶に頼らず、その場で正確な情報を確認できる。請求ミスも減りましたし、利用者さんへの説明も自信を持ってできるようになりました」

― サービス提供責任者(40代・入社6年)

まとめ

NotebookLM×社内ナレッジで実現できること

今回の事例では、NotebookLMを活用した社内ナレッジAIの構築により、以下の成果を実現しました。

  • 情報検索時間を85%短縮し、業務効率が向上
  • 管理者への質問を65%削減し、管理者の負担を軽減
  • 新人の独り立ちまでの期間を約1ヶ月短縮
  • 「いつでも聞ける」環境により、スタッフの心理的負担が軽減
  • 夜勤・休日でも基本的な確認ができる体制を構築

中小企業でも始めやすい理由

NotebookLMを活用した社内ナレッジAIは、以下の理由から中小企業でも取り組みやすい施策です。

  • 初期費用ゼロ:NotebookLMはGoogle アカウントがあれば無料で利用可能
  • 専門知識不要:プログラミングやAIの専門知識がなくても、資料をアップロードするだけで使える
  • 段階的に拡大可能:まずは一部の資料から始めて、効果を確認しながら徐々に範囲を広げられる
  • 既存資料を活用:すでにあるマニュアルや規程をそのまま活用できる

「マニュアルはあるけど活用されていない」「新人が情報を探すのに時間がかかっている」「ベテランに質問が集中している」といった課題をお持ちの企業様は、NotebookLMの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

社内ナレッジのAI活用にご興味のある方へ

「うちの会社でも使えるだろうか」「どの資料から始めればいいか相談したい」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた活用方法をご提案いたします。

この事例で確認した実務ポイント

対象業種: 製造業

支援の観点: 業務フローの棚卸し、既存ツールの整理、現場で使い続けられる運用設計、導入後の定着確認。

同じ課題に向く企業: IT担当者が不在、紙や表計算での管理が限界、AIや自動化を試したいが社内だけでは進めにくい企業。

よくある質問

この事例では何を改善しましたか?

【NotebookLM×社内ナレッジ】マニュアル・規程をAIに学習させて「いつでも聞ける」環境を構築した介護事業者の事例の事例では、NotebookLMで社内マニュアルや規程を読み込ませ、従業員がいつでも質問できるAIナレッジベースを構築。介護事業者の導入事例をご紹介します。

同じような相談はできますか?

はい。製造業に限らず、業務の棚卸し、AI活用、ツール導入、システム開発、運用定着まで相談できます。

IT担当者がいない会社でも依頼できますか?

可能です。現場の業務内容を確認したうえで、専門用語に偏らず、既存の体制で続けられる形に落とし込みます。

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